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入学してすぐ長万部 謎多き基礎工学部【東京理科大学新聞】

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東京理科大学基礎工学部長万部キャンパス

謎多き基礎工学部

 基礎工学部、それは東京理科大学でもっとも謎に包まれた学部である。本学部について簡単に説明するとなれば「電子応用工学科、材料工学科、生物工学科の3学科からなり、今年で創設29年目となる。東京理科大学では比較的新しい学部」ということになる。しかし、この情報からどのような学部なのか掴める人は少ないだろう。基礎工学部生から本学部を説明するとすれば、やはり「長万部」という単語に限る。また本学部は東京理科大学で唯一「クオーター(四学期)制度」が試験導入されるなど、今まさに「アツい」学部なのだ。そこで今回は基礎工の生態と銘打って、普段知ることの出来ない本学部について紹介したい。

ドキドキワクワク寮生活 キーワードはクラスター、課外活動、長万部町

基礎工学部の1年生は入学式の日に日本武道館から
長万部キャンパスまで、直線距離で約750kmの移動をする
 北海道山越郡長万部町、そこには東京理科大学唯一の全寮制キャンパス、幻の長万部キャンパスがある。入学式で「基礎工学部、起立」の掛け声と共に本学部1年生がバスへと乗り込み北の大地へと旅立つ勇姿を目撃した人も多い。その後、1年生は休む間もなく羽田空港から新千歳空港へ向かい、またバスに揺られ、気が付けば入寮しているのだ。そして約1年間のドキドキワクワクな寮生活が始まることになる。

 寮は1人部屋ではなく、必要最低限の家具が備わったスペースをそれぞれに分け与えられる共同部屋である(28期生では最大4人部屋、29期生では最大5人部屋)。プライベート空間がないといっても過言ではないこの環境で基礎工学部生はいかにして寮生活を過ごすのか。それを知るにはクラスター、課外活動、長万部町という3つの言葉がキーワードとなる。

 まず、クラスター(cluster)とは英語でブドウの房や集団という意味であり、これは基礎工学部生の集団を表す単位の一つである。そもそも寮は1~3号棟の男子寮、4号棟の女子寮の合計4棟からなっており、さらに各号棟は左右でA棟とB棟に分けられる。そして3号棟の3階B棟であれば33Bクラスターと命名されるのだ。各クラスターにはPC、TVや長机,簡易キッチンなどが備わったラウンジが与えられ、ここが日常生活の活動拠点となる。男子禁制の女子寮も女子学生の増加に伴って建設され、こちらは新築でIHキッチンや男子寮の2~3倍はあろうかという広大なラウンジが備え付けられている。

 次に長万部での課外活動についてであるが、ここで疑問なのは1年生だけで課外活動はどうするのかということであろう。実は長万部キャンパスの団体はほとんどが部活動である。前年度の情報をもとに部員を募り、一から部活を作って活動するのだ。よって毎年活動の規模や方針は異なり、変化をしながら活動の歴史を作っている。体育会系の部活はキャンパスの広大な敷地もあって活動場所にめぐまれている。また、文化系の部活においても防音室、ピアノ、キッチンや娯楽室完備の学生会館により、活動の幅は広いと言えるだろう。なかには隣接しているゴルフ場を利用したゴルフ部や、パワーリフティング部など特徴的な部活動もある。また、学生会館は正式名称をエソール会館といい、1時間100円のカラオケを利用する学生も多い。

 最後に長万部町についてである。在寮期間中に外泊や町の外へ出るには大学への申請が必要であるため、日常生活の多くを町内で済ませる学生が多い。買い物は商品の値段と店までの距離を天秤にかけて店を選ぶ訳だが、通える距離で最も遠いスーパーまでは片道2㎞であり、冬季であればもはや一種の修行である。某有名コンビニエンスストアでさえ、キャンパスから片道1㎞、もう一方は片道2㎞という全くコンビニエンスな距離ではない。そこで基礎工学部生は噂に伝わる学寮のけもの道を探し出し、少しでも生活を便利にしようと必死になるのである。そして毎年、冬季に雪が1m以上降り積もっていることに気が付かず、けもの道へと足を踏み入れて大変な思いをする者が後を絶たないのだ。

基礎工学部生の声 「とても楽しかった」が約8割

 やはり寮生活に対する最大の疑問は、実際のところそれが良いのか悪いのかというものだろう。そこで生の声を聞くべく、寮生活を終えた基礎工学部生や寮生活を送っている1年生に協力していただき、アンケートを実施した。

 寮生活を終えた基礎工学部生への「長万部キャンパスでの寮生活はどうでしたか」という質問ではとても楽しかったという回答が約80%となる結果になった。この結果から寮生活に何かしらの楽しみを見出していた学生はやはり多いと分かる。寮生活の良かった点では「友達に困らない。上辺だけではない友達ができた」との回答が多く、寮生活は友人作りという面では有利な環境と言ってよさそうだ。また「起こしてくれるので寝坊しない」、「学習面で分からないことがあってもすぐに話し合える」と答えた学生も多く、学習面に与える影響も大きいのだろう。他には「田舎だと思って不満な部分があったが、真っ暗な空地から見る星があんなにも綺麗だと初めて知った」との回答もあった。長万部の星空を通して、都会では味わえない星の魅力にはまる学生も多いのかもしれない。

 逆に寮生活の悪い点では「プライバシーがない」、「クラスターメンバーの相性、仲が悪くなった時の対処などが難しい」との回答が多く、人と接する距離が近い共同生活では1人の時間が確保できず不満を感じる学生や、人間関係で悩む学生が多いようだ。

 現在、寮生活を送っている29期生は寮生活を始めるにあたって「友達ができるか、みんなとうまくやっていけるか不安だった」と答える学生がやはり多かった。また1ヶ月半の寮生活を過ごして「人との距離がとても近く、良くも悪くも楽しい」と答える学生も多く、今年も学生はプライバシーや人間関係に悩みつつ、寮生活に楽しみを感じているようだ。また「大型書店や家電量販店、服屋が無いので不便だ」と答える学生もおり、現代を生きる若者への長万部の洗礼は相変わらずのようである。

 基礎工学部生の声から見える寮生活は学習面では利点が多く、人間関係ではやはり乗り越えるべきことが多いといえるだろう。また、かの有名な「オシャマジック*1」という言葉のもとが「初年度教育により学生が魔法にかかったかのように活躍する」という意味を指すのは寮生活による学習面での効果なのかもしれない。

象徴は「新しい希望」 基礎工学部の活躍に注目

基礎工学部の象徴とも言えるスペース・ノヴァの木
 ここまで謎に包まれた基礎工学部生の生態を1年次の寮生活に注目して紹介してきたが、この記事を読んで本学部がどういう学部なのかと、少しでも掴んでもらえたら幸いである。最後に本学部の象徴とも言える"あるもの"を紹介したい。それは「スペース・ノヴァの木」である。これは長万部キャンパスの平原に植えられた木であり、その名前は校舎入り口に書かれた「SPES NOVA1987」に由来しているらしい。意味はラテン語で「新しい希望」。これからの社会を担う若者を表したというその言葉が本学部のシンボルなのである。基礎工学部生もまたスペース・ノヴァとなれるのか、今後の基礎工学部の活躍から目が離せない。(東京理科大学新聞448号)

*1 元々の意味は入学時の偏差値が最も低い基礎工学部が、長万部での初年度教育を経て多面的に成長することを指す。学力面はトップ偏差値の学部の学生を超えるようになるとも言われ、卒業後には有名大学の大学院への進学や、世界的に有名な企業に研究者として就職し、活躍する学生もいる。近年では、長万部での寮生活という特異的な閉鎖空間で、魔法にかかったかのようにカップルが誕生することもオシャマジックと呼ぶ。この場合には、成立したカップルが2年次以降に別れるというジンクスも含まれている。

東京理科大学新聞会は1950年に設立。新聞では理科大の変遷や出来事を様々な形で伝えてきました。現在は学生が読んで「面白い」「ためになる」と感じる記事を目指して、日々活動しています。
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