教会前で20年の路上生活 「よつやさん」インタビュー【上智新聞】 | Student Press OB OG Network

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教会前で20年の路上生活 「よつやさん」インタビュー【上智新聞】

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上智大生の認知度99%

聖イグナチオ教会前の路上で生活をしている1人の高齢男性。通学する多くの本学学生や教職員が目にし、親しみを込めて「よつやさん」という愛称で呼ぶ学生もいる。彼は一体何を見て、何を考えながら、なぜ、あの場所に座っているのだろうか。今回、本紙はアンケートとインタビュー調査を実施した。
「よつやさん」の住まいには生活感と荘厳な宗教画がある

 本学学生を対象に実施したアンケート調査(有効回答者数:264人)の結果によると、99.2%が「(聖イグナチオ教会前の路上生活者の)存在を知っている」と回答し、認知度は極めて高いことが判明した。また、「不快感を持ったことがあるか」に対して、約73%の学生が「ある」または「どちらかといえばある」に回答した。「危害を加えられたことがあるか」に対し、「はい」と答えた学生は約8%で、「罵声を浴びせられた経験」や「不衛生さを指摘する声」が上がった。一方で「区役所などの公共機関に苦情したことはあるか」に対して「ある」と回答した学生は約2%に留まった。

 このように、男性が教会前の路上で生活をしていることに疑問を抱いている学生の数は少なくなかった。では地方自治体はどう対処しているのだろうか。千代田区役所の道路公園課の職員に問い合わせたところ、「そうした苦情の対応はしている」と話す。「通行人の迷惑になっている場合は注意、警告をして撤去を指導することになっている。荷物を置きっ放しにしている該当の男性には一貫して撤去を要請しているが解決には至っていない」と続けた。

 そこで、記者は男性本人に取材を申し込んだ。「いつもここで何をしているのか」という質問に対し、男性は「俺はここに20年いる。神学部の瀬本神父や常連の知り合いの方は自分がここにいないと心配してしまうから、ここにいる」と語った。

滝さんの眼光は鋭い
男性は長崎県出身で、「滝哲也」のリングネームを持つ武術家として現役時代は活動していて、バブル崩壊以前は会社を5~6社経営していたこともあったという。現在は日本格闘武術連盟の総帥を名乗り、グラウンドで空手を教えているという。「武道の弟子たちはアメリカ、カナダ、ヨーロッパへ行き、インストラクターとして活動している」と誇らしげに話す。

 路上生活をしていることについては「毎日お金を稼いで上司に怒鳴られたり、公共機関に頼って施設で人間関係が複雑になったりする日々を送るよりは、他人にどう思われてもこの生活の方が良い」と主張。路上で座っている時に横を通る猫や犬を例にあげ、「あれが本来の生き物の生き方ではないのか」と記者に問いかけた。また、今年の夏、生活している区画に植えられている草木を伐採した区に憤慨しており、「植物があるから我々も生かされている」と人間が自然と調和して生きていくことの重要性を訴えた。 

 取材終了時には「人生に行き詰まったらまた私の所へ来なさい。世の中の『酸っぱさ』『甘さ』を知って生きてきた。宇宙のマクロからミクロまで説いてみせる」と記者に述べ、本学学生との関わりに意欲的な姿勢を見せた。

記者の目

学生からは否定的な印象の声が多かった。しかし、滝さんの人間味は実際に話してみないと分からない。奇異の目を向けながら前を通り過ぎるのではなく、実際に接し、その生き方を聞いてみることが大事だ。相手を「知る」ことこそカトリックの目指す精神であり、真のグローバリゼーションなのではないだろうか。次号では、路上生活者支援の見地から深く掘り下げて特集する予定だ。(上智新聞2016年1月号 西崎奈央)

上智新聞は1965年発刊。上智大学在学生による学内唯一の学生新聞メディア。「学生の立場に立った公正な報道」を念頭に、大学広報にとどまらない報道を目指している。
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